かくいうもの

いつでもきょうがいちばんたのしいひ

自転車で佐渡を走って来た。

自転車を買って、初めて長い距離を走って実家に帰った夜、佐渡を走ることに決めていた。去年の9月のこと。あれから8ヶ月。師匠こと我が弟に誘われた佐渡ロングライド。まさか本当に走ることになるとは。
2014佐渡ロングライド公式WEBサイト


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ということで、佐渡を走ってきた。(長いよー)

※6/3 
ルートラボ貼り付けられるようになってたの今更知ったので。。追記。再生も出来るよ)

大人の遠足の時間

■5/14

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荷物の準備は、前日にすべて完了。自転車のチェーンを洗って新しいオイルをさした。空気圧もチェック。金曜は朝から21時半まで仕事。正直仕事どころではなく、心はすでに佐渡。22時すぎに帰宅後、自転車を輪行袋に詰めて、時計のアラームを4時半にセット。次の日に着る服の用意迄して、まるで遠足気分。ただ遠足にしては遠いし、走る距離は長い。すでに興奮している体と心を無理矢理に落ち着かせ、23時に就寝。自転車の夢、は見なかった。


■5/15
4時半にアラームの音がなる。目を開けた瞬間、起きた。昨日のうちに買っておいたおにぎりを二つ食べ、いつものようにコーヒーを入れて、静かすぎる朝の一時。

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家を出たのは5時前。既に夜は明けていて世界は動き出す。さて行こーか。


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始発の地下鉄で東京駅。上越新幹線のホームには自転車人の姿が。そりゃ一目でわかります。輪行袋持ってる人を見るのは始めてではないけど、数が違い過ぎる。新幹線で隣になった人もsadoり組。つか、乗降口が自転車だらけ。。


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自転車は席の後ろに配置。このポジションの奪い合いが発生することがあるなんて…まあ、僕自体新幹線で輪行するの初めてなんですけどね。
とんかつ弁当をもぐもぐして、昼寝というよりも朝寝タイム。


zzz


zzz


( ゚д゚)ハッ!





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起きるとそこは新潟であった。時刻は8時20分。自転車を組み立ててフェリー乗り場を目指す。この日に走ったのはこの時の2kmちょいだけでした。
佐渡汽船のフェリーターミナルで再び輪行準備。さすがに手間取ることはなくなった。テキパキとばらして袋に詰めてエスカレーターを上がると、、


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いるいる自転車人達が。


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新潟〜佐渡の両津までの航路は2時間半ほど。二等室で片道2320円。手荷物代が500円。乗船して自転車の多さにまた驚く。至る所に輪行袋

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出航。かもめがフェリーと競うようにして舞っている。
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それにしても天気がいい。のんびり横になるのはもったいなくて、ただ海を眺めてぼんやりと過ごす。風がちと寒いので船内ぶらぶらしたり外に出たりを繰り返し、なんだか時間を持て余しているような、はやる気持ちを抑えつけようとしているような。


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佐渡ロングライド弁当。ありがちだけど嫌いじゃない。


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さて、近づいてきた。次第に大きくなるその姿を見て昂らざるをえない。


佐渡上陸

フェリー接岸。
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佐渡に足を踏み入れた。日本海側に来ることが初めて(それにビックリ)なので、当然佐渡も初めて。東京から新幹線とフェリーを乗り継いで6時間の小旅行。観光したいところではあるが、シャトルバス乗り場に直行して自転車をトラックに積み込み。

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30分ほど揺られて前日受付会場に到着。師匠と合流。

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受付完了! Tシャツとお米をゲットだぜ(≧∇≦)ノ


自転車は翌日のスタート前集合地点となるちょっと離れた体育館に預ける。

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体育館が巨大な駐輪場になってる!


お腹が非常に空いていたので、お昼ごはん食べながら作戦会議。

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ちらし!

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にぎり!


師匠は数日前に佐渡入りしてキャンプをしていた。それも「走って」佐渡まで来ていた。まあ事前に聞いていたとはいえ、よくやるもんだ。これから200kmを走ろうとしているのに。すでにコースも下見済みとのこと。やはり後半の坂が難所らしい。事前に立てた戦略をもとに、あーだこーだ。結論としては、やるっきゃない。ということで終わり。なんの作戦会議だかわからんが。


スーパーで買出し。明日の朝ご飯や補給食を手に入れる。

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街がロングライド一色。さすがにスペアタイアはないだろ、と冷静に突っ込みつつ。


会場周辺をお散歩。

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ここでキャンプしてるらしい。


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海がめっちゃ綺麗。水って透明なんだな。

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会場に戻って前夜祭に参加。といっても、大会役員の挨拶と抽選会ぐらいのもの。
このイベントは、レースではなくサイクルイベント。交通規制をかけてない公道を使ったもの。なので当然法規を守った走行が必要。信号はコース中に15個しかない! がもちろん赤信号停止だ。後半180km地点の海岸付近では道路に砂が上がっているので注意という話もあった。まだ日が落ちるような時間ではなかったが、太陽に雲がかかると肌寒い。さっきまで晴れていたかと思うといつのまにか曇っている。その逆も。佐渡の天気は移ろい易い。


グダグダ感満載の抽選会が終わり、18時前に解散。それぞれ自走、シャトルバスで寝床へ帰っていく。
会場周辺には宿泊施設があまりなく、参加者はバラバラに散っていく。それにしてもすごい人の数だ。一番距離の長いAコースで2000人超。4コースあわせて3363人がエントリーしているのだ。一時的とはいえ、人口が3000人も増加している。街は自転車だらけ。まるで自転車の王国。


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宿に戻ったあと、晩ご飯を食べに一度外出。女将さんに教えてもらった定食屋さんに行ったのだが。。ご飯売り切れだと… 誰だ俺の分のご飯を食べた奴は(´・ω・`)
しょうがなく隣のラーメン屋さんで特製みそらーめんをもぐもぐ。
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20時前には宿に戻ってお風呂タイム。20時半には就寝。何しろ明日は2時半起きだ。

夜も開けぬうちに

2時半起床。同じ宿に留まっている人は皆ロングライド参加者なので、同じように起きだしてる。
サイクルジャージにウインドブレーカー、さらにレインスーツの上を着て宿を出る。


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真っ暗だ。そりゃそうだ。


シャトルバス乗り場にだんだん人が集まってくる。静かながら闘志を燃やす人々が。
3時20分のシャトルバスでスタート前集合地点についたのは4時過ぎ。


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4時半の時点ですでにかなりの人が集まってる。



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さらに増える。


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5時よりスタート地点への移動開始。2000人が連なる光景は空から見てみたいものだ。


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まもなくスタート。


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後ろにもいっぱい。

佐渡り、佐渡れば。

■5:45
スタート! 長い1日が、念願のsadoりが始まる。
スタートは12名づつ。一定の間隔を空けながら、自転車が次々に飛び出していく。


もの凄いスピードで追い抜かされていく。お前らどんだけの太ももなんだよ。。

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並走禁止とはいえ、序盤はやはり固まる場面もあり。単純に2000人がならんだら2km以上になるもんな。。走るうちに次第に1列での走行になっていく。



■6:30  相川AS
最初のAS(エイドステーション)
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早速補給。


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ワカメそば!


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おやきも食べるよ!


距離の一番長いAコースは佐渡島を1周する210kmのロングディスタンス。
途中、AS(エイドステーション)と呼ばれる休憩所で食料と飲み物の補給が出来る。
大体20km〜40kmごとに設けられていて、100km地点の両津はBSと呼ばれる。BS、つまり弁当ステーションだ。タイムや順位を競うレースではなくサイクルイベントではあるものの、両津BS以降の各ポイントには制限時間が設けられていて、制限以内に通過できない場合はタイムオーバーとなって走行が出来なくなる。

START 佐和田 ★5:45
20km 相川AS
40km 入崎AS
72km はじき野AS
100km 両津BS ★12:30
140km 多田AS ★14:00
162km 小木AS ★15:00
180km 素浜AS ★ 16:00
GOAL  佐和田 ★18:00

2014佐渡ロングライド公式WEBサイト

100kmを越えてからの制限時刻がかなりシビアなので、作戦では両津BSに10:30には到着して昼ごはんを済ませて11:00には再開する予定を立てていた。そうすると1:30のアドバンテージがあるので、余裕のある展開が出来る。特に後半のアップダウンは激しいので20kmを1時間で走るのは厳しいはずなのだ。


ここまでは順調、といってもまだ20km。10分の1しか走ってないのでなんとも言えないか。

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畑の中を、トンネルを、左に海を眺めつつ、進む。先が長いとわかっていても、周りに影響されて、足に力が入りがちになる。それもこれも、天気の良さのせいだきっと。


すぐに次のポイントへ


■7:40 入崎AS
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補給食は基本的に、おにぎり、バナナ、オレンジ。



先が長いので、あまりのんびりせずに、再開。



50kmをちょっと過ぎたあたりで、最初のトラブル発生。パンクorz。
さらに動揺して転倒。幸い外傷は掠り傷程度で、打撲などもしなかったが、心臓がバクバクいってる。チューブを交換して、再開するも、大幅に時間をロス。なんとか気を落ち着かせて、先を急ぐ。


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最初の難関。Z坂キタコレ。ほんとにZだ。。


難所とは聞いていたが、登れない坂じゃない。
そして美しい景色が待っていた。

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海の綺麗さが半端ない。もうパンクしたこと忘れるぐらい。圧倒される。そして写真撮っててまた時間をロスしてる。しかしこれは必要な時間だ。走るだけが自転車の楽しみじゃない。


さらに進んで今度は大野亀。

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標高187mの一枚岩(!)結構離れた位置から撮ってるのに、存在感すげえ。


大野亀の脇からまた結構な勾配の坂があり、軽く腰浮かせて登っていく。登りきったところで、流石に暑くてウインドブレーカーを脱いだ。まだ朝の9時半だが、坂を登ると一気に汗が吹き出る。



■10:00 はじき野AS
計画では9:00着を予定していたポイント。1時間遅れ。補給を済ませてすぐ再開。


遅れを取り戻すべく、あくせくと進んでいたが、80km付近で前輪に違和感を感じて緊急停車。


まさか。。ああ、2度目のパンク(´・ω・`)


もう替えのチューブがなかったのでパッチ修理。2回もパンクとか、痛すぐる。まだ半分どころか、3分の1ちょいしか走ってないのに。。。


明るく振舞ってはいたものの、正直早くも心が折れそうだった。制限時間のことが気になって気になってしかたない。ただ、今は進むしかない。お腹も空いてきた。早くBSへ。


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のんびり海を眺めている人もいる。お前の余裕を俺にわけてくれ。


■11:40 両津BS(弁当ステーション)
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やっと100km。さーて昼ごはん。時間はかかってしまっているものの、まだなんとかなる、と希望は捨てていない。

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豪華とはとても言えないが、この時の俺にはご馳走だった。いつもそうだ、ご飯が俺を滾らせ、前へと進ませる。


「時間との戦い」

後半戦スタート。残り110km。すでに100km走っているのに、残りの方が長いとは。。気が遠くなるような距離だ。そしてこっからは、ポイントごとに制限時刻が設定されている。たどりつけなかった時点で、sadoりが終わる。


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ちびっこローディー発見。黄色のゼッケンなのでBコースの参加者だそれでも130kmだぜ。どんな子どもなんだ。。

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次のポイントまでは40kmある。調子良く行きたいところだったが、、


110km付近で、今までノートラブルだった師匠の自転車がおかしい。



まさか、パンク? いや違う。思わず「えー!」と声が出た。


シフトワイヤーが切れた。
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まさかの、大打撃。流石の師匠もシフトワイヤーの予備は持ってなかった。
すぐにサポートカーを呼ぶために大会本部に連絡をするが、サポートも混み合ってるのか折り返しになる。ぐぬぬ。それもなかなか連絡が来ない。終わった。。と思った。そんな時に、黄色い車が見えた。


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「MAVIC CAR!」



天使は黄色い姿だったんだ。
Mavic | Wheels, tires, rims, and apparel for road, mountain and track cycling


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プロ中のプロによるサポートを受け、復活。時刻は12:45。次のASまで30km。制限時刻は、、14:00!とにかくもう、学校や家には帰りたくない、いやいや、先に進むしかない。


正直写真撮ってる時間なんて何処にもねえ。


渾身の力を振り絞ってひたすらに回す。向かい風が行く手を阻めども。たどり着きたい、その一心のみで。







■13:55 多田AS
滑り込みセーフ。マジ俺頑張った。頑張るって言葉嫌いだけど、こんときだけは頑張った。そしてまだ終われない。おにぎりは品切れ! オレンジとバナナを放り込んで、ドリンクを補給してすぐに再開、次は22km、時間は1時間しかない。平地ならまだしも、それなりにアップダウンがある。風もキツイ。



何かを求めて走っているわけでも何でもない、ただ楽しいんだ。楽しくってしょうがない。そりゃしんどいさ。でも楽しい。走ったことのない道を走るだけで楽しい。足を回して、回した分だけ遠くに行ける。たどり着いたら、また帰るだけ。それだけなのに、自転車に乗ると、どこまでもそのまま行ってしまいたい気持ちになる。乗り続けていたくなるんだ。坂はキツイ。立ち漕ぎしても、転びそうな坂もある。それでも、登ってみたくなるんだ。たぶんここを走っている人は皆大なり小なりそう思ってるだろう。



■15:00 小木AS 
制限時間オーバー気味にASへ。リタイアでなく続ける人はスルーしてそのまま走って下さいとの声がかかる。そうですか、はい。


さて、次の素浜ASまでは距離は18kmで、同じく1時間とはいえ、激坂が2本待ち構えている。


背後から、悪魔が迫ってきた。最後尾には黄色いジャケットを来た「収容人」なる死神(失礼)がおり、タイム制限に届かない人を回収していく。つまりこの人に抜かれる=タイムオーバーということなのだ。


最後の力を振り絞ってペースを上げる。しかし太ももは息をしていない。


170kmを超えたところに、激坂が。。Max15%とか、今の足で登れるわけがない。。


ついに、足をついた。それは終了の宣告。収容人から「行けるとこまで行きましょう」と声をかけられて、抜かれていく。


自転車を押して登るのさえ、しんどかった。


平地になったところで、サドルに跨る。そうか、もう急がなくていいのか。

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■16:20 素浜AS
制限時刻を20分オーバー。残りの30kmを走ることは出来ない。。
ゼッケンと通過チェック用の計測チップを返却。

地面に座り込んだ。初めてのsadoりは、一周することなく、終わってしまった。
同時に来年も走ることを決めた。このまま負けたままでいるわけにはいかない。
悔しさで涙が止まらない。3回のマシントラブルは大きすぎた。事故がなかったのが幸いか。



はあ、虚脱。収容車を待つまでの間、何を考えていたのか思い出せない。
体を動かす気になれず、地面に縛り付けられたかのようにただ座り込んでいた。


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ここがやはり難所なのか、マイクロバス2台分のリタイア組。


バスに乗って会場に向かう。


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ここに、自転車で戻ってきたかった。



ゴールした人は次々とバスに乗り込み、帰路を急いでいる。今日中にフェリーに乗って帰る人が多いようだ。俺は、というと、海を眺めてぼんやりしていた。


そのとき、「ガタンガタン」と大きな音がしたので、そちらへ行ってみると。。

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バスが海にダイブしていた。俺を載せてきた収容車じゃないか。。なんで最後にこんなオチまで用意されているんだ。

反省会

という名の焼肉パーティー

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肉!


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ごはん!


ご飯大盛り2杯ぺろり。やっぱり日本人は米だね!


師匠と別れて、宿まで自走。田んぼの真中を走ったときは蛙の合唱がすごかった。
そして、星が綺麗だった。月と金星がランデブーしてた。


17kmほど走って、帰宿。お風呂に入って落ちるようにして就寝。


祭りのあと。

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7時前に起床。フェリーの時間まで大分あるので、朝の散歩など。


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佐渡って、信号機が全部縦置きなんだよね。なんでだろう。


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サイコンをチェックしてみると。昨日のトータル走行距離199km。宿まで走った分を加えても200kmには届かなかったか。。



荷物を片付けて、さて、帰路だ。


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フェリーで朝食。あんど朝ビール。


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フェリー航路って国道なんだね。


新潟から新幹線で東京駅。当然のように車内では爆睡。東京駅から地下鉄輪行。さすがに今日は走りたくないので。


■19:30
帰宅。ビール!(本日2回目)


案の定、眠い。21時過ぎにはベッドに倒れこんだ。



一周出来なかったのは残念だったけど、楽しくてしょうがなかった。
1年前の自分には、自転車に乗ってることさえ想像できないぐらいだったのに、まさか佐渡まで自転車持っていって走るようになっているとは。人生なんてわからないもんだ。そのわからなさが、最高のスパイス。



佐渡ロングライド走行記録

走行距離:182.25km
走行時間:不明(残ってないorz)
平均速度:23.1km/h
最高速度:55.9km/h


より大きな地図で 佐渡ロングライド20100516 を表示


最後、30kmぶんが繋がってない。こうやって見ると悔しさがぶり返して来るね。。
そして、師匠こと弟は同じ日に佐渡から長野に向かったとさ。どんだけやねん。


佐渡ロングライド20100516 - ルートラボ - LatLongLab



さて、来年また佐渡で会いましょう。