冬だけど。
水曜日の時点ではまだ週末には豚汁でも作ってのんびり過ごそうかと考えていた。と、同時に疼くものがあるのを感じてもいた。どこか、どこかまだ走ったことのない道を走ってみたい、そう思い出すと、走りに行かざるをえない。もうそういうふうに出来てしまっている。木曜日。ふつふつと俄に沸き上がってくる思いが確信に変わり一日中考えるのは自転車のことばかり、それでもまだ行き先は決まっていない、そんなときに、またあの本を手にしていた。迷える子羊のためのガイド本。
- 作者: 丹羽隆志,菅原栄
- 出版社/メーカー: 東京地図出版
- 発売日: 2009/03
- メディア: 単行本
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プランAはとりあえず来年に先送りした。で、あればだ。自動的にプランBが繰り上げ当選なわけで。
金曜日、会社から帰宅後、じゃ○んで宿を予約。ルートを調べる。順序が違う?こういうのは勢いなんだ。先にルートを調べてしまうとあれやこれや考えすぎてしまうので、とりあえず決めたら宿を取る。宿に辿り着くまでのルートを決める。そうやっていつも大体失敗してる(駄目じゃん)。でもそういうもの。とりあえず、1日目は富士山の麓まで辿りつかないといけない。山ん中湖こと山中湖への道だ。6時間ぐらいでたどり着いている人がいるらしいので、貧脚BANZAIな俺はプラス2時間で8時間という大雑把な見積もりを立てた。100kmぐらいだろ、「ちょっと」じゃん←病気。
道志みちを通って山中湖へ。
1日目。
軽口を叩いておきながら、正直ベースに申し上げますと、それでも辿り着く自信のない超極小の心臓の持ち主なわけで、6時ぐらいには起きて出かけよう、なんて思っておりました。起床7:40。。ですよねー。最近土曜日に早起きできない。携帯アラームが鳴った気はするのに、まるっきり用を無していない。それでも時間に余裕があると思っていたので、のんびりと準備をして時間を食いつぶす。
■8:30
やっと行動開始。さあ行こうか。
ものっっすごく天気がいい。青すぎる空に気持ちがはやってしまい、何をどう間違えたのか、気づいたら246に出ていた。凡ミス。なんで八王子方面目指してたのに、環七下って246にいるの?馬鹿なの?自分に激高して来た道を慌てて戻る。いきなり30分をロス。これが最後の最後に響くわけで。
国道20号を西に向かい、多摩川を越えたところで、標的を確認。待ってろよ、前も後ろも左右からも眺めて丸裸にしてやる!とこのときはまだ、余裕ありまくり。
11時過ぎに八王子着。ちょっとばかし休憩して、国道20号を左折。国道16号へ。結構アップダウンがあって早くも息が上がる。体力落ちてるなあ。
横浜線の線路を渡って右折。国道413号へ。
◆国道413号 - Wikipedia
さて、こっからひたすら西へ西へ。
■12:00
城山ダム。
津久井湖。
メチャクチャな登りがあるというわけではないけど、とにかく長い。ひたすらに登り続けるので、先が見えない。
1時間ばかし走ったところですでにバテバテ。次のコンビニまで1333m。
2回目の休憩。コロッケ美味しい。しっかり休んで先を目指す。まだまだ登り続けないといけない。
道の駅どうし。太ともが悲鳴を上げている。太陽は山の影に消えつつある。やばい時間がない、でも休みたい。
今頃家で作ってたかも知れない豚汁を食す。豚串を食す。
あんまりのんびりもしてられないので、先を急ぐ。日没には間に合わないか。
途中で何度も休みながら、時には自転車を降りて押して進みながら、富士山の麓に辿り着きたい、それだけで前に進めていた。山だからか、日が傾いて来たからなのか、気温が一気に下がった気がする。暗くなってしまう前にはなんとか辿りつきたい。夜の峠は怖すぎる。
山中湖村であった。ついに。
あの影!ズームしてないのにでかい!多摩川を越えた時には遙か遠くに見えたのに。
エンドレスな上り坂に息も絶え絶えだったことなんてあっという間に忘れて、思わず足に力が入る。
■16:40
山中湖到着。なんとか辿り着いた。ほんとに8時間かかった。。
富士山をまずは東から眺める。太陽はすでに沈んでしまっていたが、それゆえに輪郭が浮き出ていて美しい。眺めているうちにどんどん辺りが暗くなってくる。長い道のりがあってこそ、辿り着いた景色が美しいんだ。だから自転車はやめられない。
さて、宿に向かうにはもうちょい走らないと。
真っ暗闇の中を忍野村に向かう。途中迷って宿に連絡して道案内などお願いして、18時前に到着。めちゃくちゃ疲れた。
炬燵に石油ストーブ。いいね!
お風呂。アットホームだ。民宿のこういう感じが好きだ。安宿最高。ホテルじゃツマンナイのだよ。疲れと汗を洗い流して湯舟にゆっくりと浸かる。とりあえず明日のことは考えない。脱力あるのみ。はー疲れたー。
素泊まりだったので近所のスーパーに買いだして、今日を労う。ストーブで過剰に温まってる部屋で飲むビールは格別ですね!
ぼーっとしていると外でなにやら音がする。もしや、と思って見てみると。
花火が上がっていた。ちょっと距離はあるけど辛うじて見える。思いもしなかったのでなんか嬉しい。
21時前には崩れ落ちるように布団へ。
走行距離:122.47km
走行時間:6:37'27
平均速度:18.4km/h
最高速度:52.1km/h
(山中湖から宿まではログ取れてなかった…)
◆20101204 road to Yamanakako - an album on Flickr
富士山をぐるり。
■6:50
二日目。
起床。信じられないぐらいに寒い。これが山梨の本気…部屋の中だというのに吐く息が白い。昨日のうちにネックウォーマーを買っておいて正解だった。無かったら間違いなく顔面が凍ってしまう。
朝富士。窓を開けたらいてつく波動で部屋の温度をさらに下げる。。
こういうときに石油ストーブは有り難い。あっという間に部屋があたたまる。
朝ご飯を食べながら地図を見ながら今日のルートを確認。女将さんに挨拶をして、7:40。さあ、今日も行こうか。
民宿富士荘さん。お世話になりました。
天気はこの日も非常にいい。ただし、メチャクチャ寒い。
人もいない。ちょっと走ったところにあったコンビニでまずは朝コーヒー。幸せ。
この日は富士山を逆時計回りに回って御殿場を目指す。
■8:30
河口湖。
河口湖畔には旅館がずらっと並んでいる。のんびり旅行に来るのもいいかもしんないねー。ま、俺は自転車ですけど。
途中トンネルがあるけど、こうやって迂回するルートがある。先を急ぎたいなら、トンネルを。少しでも多く景色を見たいなら迂回路を。後者一択。基本的に常に富士山が見えている。くどいほどに富士。
西湖。水が綺麗。そしてとても静か。釣り人が幾らかいるぐらいで人の姿はほとんど無い。まして自転車なんて皆無、なんてことは無く、2.3人とすれ違った。いるもんだなこの季節でも。
モーターバイクの集団が駆け抜けていく。この時ばかりは、バイクもいいかもなーと思ったりした。
もう昨日からの登り下りの連続で足が完全に言うことを効かなくなっていたので。
木々の間を一本の道が通る。左も右も、まさに樹海。
奥が見えないぐらいに深い。
旧上九一色村の名が。ここだったのか。まあ、説明不要ですし、これ以上つっこむ話でもないんだけど、
前々から、そのネーミングセンスの良さが気になっていた。「上九一色村」って秀逸な名前だと思うんだよな。
■10:30
視界が開けて樹海展望台。
遠くに本栖湖。その向こうの山はなんだろう。
広がる樹海。とてつもなく広い。樹海は広大だわ…(素子ボイス)
樹海を抜けるとこんどは牧草地が広がる。
富士山@西から。
チェックポイントにしていたJAストアと公衆トイレ。なんだが、どちらも冬眠中。
朝買っておいた食料でエネルギー補給して再開する。こっからルートをそれる。せっかくだから行ってみたいところがあるんだ。
ちょっと遠回りになるけど、そもそも大いなる遠回りをしている気がするので、些細なこと。139号方面へ抜ける。
9℃らしい。晴れててこの気温ってことはやっぱり標高高いんだなあ。
■11:30
道の駅朝霧高原。
つか139号車多すぎ、みんな飛ばしすぎて恐い。。
そして、朝霧牛乳ごくごく。これだ、これを飲むために来たんだ。富士山のおっぱいはお土産に大切に鞄に詰めました。
なんだかんだで40分ほど休憩して、元気も湧いてきた。ただ、139号を走る気にはなれないので、一旦71号に戻る為に左にそれて進んだところ、
ルート選択が吉と出て気分は上々。そしてこっから15kmほどがゆるやかな下りでほとんど漕ぐ必要がなかった。楽ちんだー
■12:50
白糸の滝到着。ルートからは逸れるがここまで来ておいて寄り道しないわけには行かないだろうが。
自転車を降りて、階段を下るわけだが、なんかもう自分の足じゃないみたいな感覚。この後まだ一山超えなければいけないんだけどね。
滝に近づくと水しぶきが飛んでくる。おお、虹が!
水を打つ音の大きさには何度でも驚かされる。
さて、十分に堪能した。後は帰るだけ、だが、さっきも書いた通り、こっからもう一山を超えなければ、帰れないわけで。
もう完全に気力を失いかけており、この記事も書き始めて2時間を越えており、明らかに尻すぼみエントリになる結末が見えているにも関わらず、まだ書く。まだ走る。
東、北、西と回ってきたので、最後に富士山の南を抜けて御殿場を目指す。
これまた気が遠くなりそうな杉林を抜けていく。最初はあまり高低差がないなあ、と思っていたが、次第にスピードがでなくなって確実に登っていることがわかる。ガイド本にもあるようにコンビニどころか、自動販売機を見つけるのも困難。ドリンクを補給しておいて正解。
ほとんどが木陰なので体感温度が下がる。
やっと視界が開けた。「富士山こどもの国」って何ですか?ネバーランド見たいなもの?この8kmがまた長い。。
こうやって前を見ている分には登っているように思えないんだけど、
振り返ってみると、登ってきてるのがわかる。こういう登りがずっと続く。地味過ぎてシンドイ。。
■14:50
これがネバーランド!って…いうかあまりのやる気の無さ加減に拍子抜けた。「ろっくん」て…
なんとか登ってこれた。さあ、登ったということは?そう、下りがあるんだぜい。
ということで、これまでも何度も登って何度も下ってきたけど、最後のダウンヒル。一気に下る。途中ちらっと見えた標識で下り勾配10%って見えた気がするけど? 箱根さながらの強烈な下りに、ブレーキをフルに使ってヘアピンを曲がる。ブレーキ開放した途端に、ドカン、とスピードが出る。怖い怖い。そして寒い寒い。登りに比べれば格段に楽なんだけど、もの凄い緊張感による疲労は登りとは全くの別物。下ったところにあったコンビニで自転車降りたときにはあまりの寒さに体が震えてた。
アルフォートとスイートポテトバウムで最後の燃料補給。
あとは御殿場まで走るだけ。
陸上自衛隊東富士演習場。ガイド本には広々とした草原が続く、とあったけど、今は一面のすすき野原。
富士山@南から。
季節が違えば風景も違うんだなあ、と思って、やはり夏に来たいな、と。
さて、下ってきた。街だ。人だ。
ここを左にまがれば、山中湖方面にいけるのだが。。綺麗に1周するってのが一番だとは思いつつ、直進を選ぶ。そう、もし山中湖を目指すとなるとこっから標高差600mを登らなければならないのだ。。もうとてもじゃないけどそんな力はないよ。もうとっくに太ともは息をしていない。
時刻表を見たら次の電車まで15分ほど。それを逃すと45分後、ということで速攻で輪行準備してホームに降りたと同時に電車が入ってくる。 無事に乗車。最前列確保。
珍しく1両に6台もの輪行袋が乗ってるという自転車フィーバーぶりを見せた御殿場線に揺られ揺られ、松田-新松田で小田急線に乗り換え。うつらうつらと立ったままでも寝れる勢いで新宿へ。御殿場から新宿まで2時間ちょい。いつもそうだが、帰るのはあっという間だ。
■18:20
新宿に帰ってきたー。地下鉄輪行はしたくないので西口で自転車を組み立てて家路。
毎度のことながら帰宅後の風呂は天国の心地。
走行距離:106.33km
走行時間:5:15'16
平均速度:20.2km/h
最高速度:56.5km/h
◆20101205 Mt.fuji cycling - an album on Flickr
■感想。
富士山は遠くから眺めても美しい。近くづくに連れてなお。
天気が良かったおかげで、冬とはいえ気持よく走れてサイコーだった。それにしても過酷なコースだった。。
事前に一日で行って回って帰ってくる人のブログを読んでいたんだけど、全くもって人間の成せる技ではない。。
確かに走っている時間だけみれば出来てしまうように見えなくもないが、とてもじゃないけど今の俺には無理。
ロードバイクに乗り始めて1年近くたったけど、始めて「速く走りたい」と思ったかもしれない。
もっと遠くに行くために、もっと寄り道をするために。そのために「速く走りたい」
二日間計
走行距離:228.8km
走行時間:11:52'43
今度は夏に行こう夏に。