かくいうもの

いつでもきょうがいちばんたのしいひ

狩野一信「五百羅漢」@江戸東京博物館、を見るなど。

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GWの記憶。その壱。

この日記にもたまに登場してくるクライアントのおっちゃんから教えてもらった狩野一信。震災の影響で公開が遅れていたが、GW突入とともについに公開と聞いて自転車で飛び出した。余談だが、そのクライアントのおっちゃんは某西武新宿線沿線在住にも関わらず部屋中の雑誌やレコード、CDが雪崩のように崩壊し、3日徹夜して片付けても床が見えない状態だったらしい。今日話したが、未だに観たいDVDや雑誌がサルベージ出来ていないとのこと。なんともまあ。。ちなみに、音楽はPerfumeからジャーマンロック、クラシックにJAZZと幅広く。コンテンポラリーアート大好きで、テレビもパソコンもないのに膨大な情報をお持ちの変態紳士です。独身、そろそろ定年。課長補佐。最近正しい相対性理論を衝動買いした。僕も借りました。5曲目が最高です。


で、だ。

狩野一信はもはやプログレ

http://500rakan.exhn.jp/

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ちんたら靖国通りを走って両国へ。江戸東京博物館。相変わらずのホワイトベースっぷり。
場所柄、というか展覧会の内容的に、ご高齢の方がたくさんいらっしゃる。

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五百羅漢とは

羅漢は釈迦の弟子として、すでにこの世にいない釈迦の残した法を求め、それを悟ったものとして人々に信仰されてきました。五百羅漢という形式の作例は、古 くは中国・南宋時代(12世紀)の林庭珪(りんていけい)・周季常(しゅうきじょう)の合作によるもの(大徳寺ボストン美術館、フリア美術館に分蔵)が あります。中国で盛んだった羅漢信仰が日本に伝わり、輸入された中国絵画にならった南北朝時代(14世紀)の吉山明兆(きつざんみんちょう)によるもの (東福寺根津美術館に分蔵)などが知られています。
そして江戸時代中期以降、各地で様々な五百羅漢の木彫、石像が盛んに制作されるようになります。五百羅漢を訪ねれば、いまは亡き大切な人に対面できるとい う信仰が一挙に広まりました。また制作に想像を絶する時間と労力が必要なことから、ひたすら打ち込んで造るという造像の功徳に対する願いも反映されて、 「羅漢ブーム」ともいえる現象が起こりました。

http://500rakan.exhn.jp/viewpoint/index.html

要はシリーズものの宗教画ですね。これだけ聞くと退屈そうに思えるのだが。
とんでも無いのだ。

100幅に描かれた羅漢のふてぶてしさ。極彩色で彩られた地獄や天界、禽獣(解説によると動物園シリーズ)などなど。幕末という時代に、こんな変態的な絵師がいたのか!という驚きに溢れている。1幅1幅に見所があって、見る者を飽きさせない。なかでもお気に入りは「六道 地獄」で、これが秀逸。「氷がはりつめる寒地獄に堕ちた罪人たちを救済すべく宝珠から放たれる羅漢ビーム!(公式:みどころより)。なんて大胆な。そしてとことん妖しげで、脳みそがクラクラする。アドレナリン大放出。


解説が「朝生」とか「光のビーム」とか「動物園」「漫画の吹き出し」とかそれでいいのかって力の抜き具合でおかしかった。2幅一組が基本なんだけど、途中で順路的に、前後してしまう箇所があったのは、ちょっと観づらかったけど…
狩野一信はこの作品群を描き終えることが出来ずに最後の数幅を妻と弟子が補って、とあるんだけど、それは一見してわかる。最後の数幅だけが、一気にクオリティが下がっているので。才能は弟子には全く受け継がれなかったらしい。そもそも才能なんて受け継げるものではないものな。でも最後の弟子たちの下手っぴな絵があるせいで、余計にそれまでの狩野一信の絵の変態的(何度でも言います)なところが浮き立ってしまって、もう、ため息つくしかない。いやあ、大満足。是非にも観ていただきたい展覧会です。



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脳みそをおおいに刺激して、当然のようにお腹が減ったので。
両国駅前の適当なお店でちゃんこランチ。BGMがどすこい。

相撲茶屋 ちゃんこ 江戸沢 総本店

食べログ 相撲茶屋 ちゃんこ 江戸沢 総本店


で、この日はもう一箇所。

MOTアニュマル2011」@東京都現代美術館

http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/123/

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こちらでは現代作家達の素晴らしい才能を堪能。アートが面白いのは、自分では絶対に発想できないようなものをこれでもかと魅せつけてくれるとことであって、そういう楽しみが凝縮されている。6名の作家の、繊細で近寄るのを躊躇うほどの美しい作品達。憧ればかりが募っていく。音のない空間と、音を生み出す空間。

「世界について、そしてそのうちにある私たち自身について」


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また時間をたっぷり使ってしまって、美術館を出た頃には夕方。折り返してそのまま帰るのもなんだかなーという気分だったので、豊洲方面からぐるっと回ることに。


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