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かくいうもの

いつでもきょうがいちばんたのしいひ

日常の中の非日常。

日記 写真

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きっかけは何でもいい。名前を知らなくったっていい。でも名前を知らないと君の名前を叫べない。

あれから2ヶ月が過ぎて、のうのうと生きているように見えて、実のところは前にもまして内側ばかりを向いてしまっているような気がしているが、それはそれで。いや、良くない。カメラを持って歩きまわっても撮る物は変わらず、同じ世界を淡々と記憶し、HDDの容量をひたすらに圧迫し続けて呆然として、必死で掴み取ろうと彷徨い歩き続ける。何で撮るかではなくて、何を撮るかであり、どうやって撮るかとはわかっていても相変わらず、思いのままにシャッターを切ることしか出来ない。何一つ捉えられないままに、残るのはシャッターボタンの反りの感触だけ。ポートレート、というものを撮ってみたい、それは俺の場合、風景の中のモデルではなく、風景としてのモデル。日常の中の非日常。


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開放はロンリネス。望遠はセンチメンタル。超広角はリリック。


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世界の向こう側とこちら側。あなたは何を思うの。何を撮るの。


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24時間のうち、ほとんどの時間を割いて、楽しいことだけを考えていくようにすると、世界の回るスピードが加速する。楽しいこと以外考える余裕が無い。そう思っていたはずの次の瞬間に、頭のはるか後ろからとてつもない強大ななにかが迫ってくるような不安に突如として襲われて、見たくもないのに、無理やり振り向かされて、眼見開いてその根源を必死になって探して、へとへとになったころに、何にもないことにやっと気づいて脱力する。イメージとしてはそういう生活を送っている。大げさに聞こえるかもしれないけど、確かに変わってしまったものがあって、それは圧倒的なまでに確実に変わってしまっている。


心がブレると、自然と美術館やギャラリーに足がむく。美しいものというのは、とてもシンプルで、芯が強く、固く、心を洗うというより、脳を刺激する作用が強くて、余計な考えをすっ飛ばしてくれる。こういう時に人間は脳に支配されているんだなあ、などと改めて感じる。だいぶ前のことになるが、あれは、上野の国立西洋美術館だっただろうか、カリエールという画家の絵画を見たときに、それまで全く気づかなかったことに気づいたことがあった。それは「輪郭は物のかたちを理解するときに生じた抽象作用の結果であって、世界に実在する線ではない」ということ。最近読んでいる本に、これがデザインの世界では当たり前の認識であるということを知ってまた、驚いた。自分の常識は世界の常識とはかけ離れているかもしれなくて、周りの人が当然のように気づいている、いや、気づく必要もなくもともと知っていることでさえ、自分は、モノを見ることで初めて知るのだと。


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手の届く範囲だけが自分の世界だったアナログな時代から、インターネットによって世界は飛躍的に広がって、それは凄く楽しいことで、果てしなく、広い。でも、掴みたい腕は余計に遠のいて、追えば追うほどに遠ざかる。好奇心という絶対エネルギーを手にした人間は、妄想にも、現実にも、貪欲に生きるべきだ。大体において現実が優っている、はずであるにもかかわらず、ヴィヴィアンガールズが生まれたことでも明らかであるように、人生の一番の贅沢な時間の使い方は、時に変態的である必要があるのかも知れない。こればっかりは生きてみた後でしかわからないのかもしれない。

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そうこう考えているうちに、延々と同じところを周り続けているのに気づいて、またカメラを持って外に行く。ファインダーの向こうの彼女に釘付けになってシャッターボタンを押すことを忘れ、悪戯な風に心を奪われ、空を眺め、月を探し、太陽の熱を感じて、空気の中に含まれた水分の気配を探る。


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そろそろ紫陽花の季節。クレマチスも咲く頃か。母は鉄線と呼んでいた。好きな花だ。昔に住んでいた家に咲いていた。母は花が好きで、引っ越したアパートにもプランターが並んでいる。


雨の音を聞きながら、ぼんやりと過ごすと唐突に子供の頃に見たであろう、祖父母宅縁側の光景がフラッシュバックする。毎年里帰りしていたのは夏休みだったはずだから梅雨の季節とはズレているはずなのだが、どうしも毎年の梅雨の季節に思い出す。とても緩やかで、心地良い記憶、雨の音で分断された世界の光景。


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今日も僕は元気ですし、好奇心に突き動かされて、日常の中の非日常を求めて、明日を生きてく。強引グマイウェイ。