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雲をつかむような話

クラフト・エヴィング商會クラウド・コレクター―雲をつかむような話』読了。

クラウド・コレクター―雲をつかむような話

クラウド・コレクター―雲をつかむような話


すぐそこの遠い場所アゾットへ。ひい。ふう。みい。


この本に出会ったのは、10年以上も前。もう記憶も朧げで、何をきっかけにして読むことになったのかは良く覚えていない。図書館で出会ったこの1冊は、当時の俺を空想の世界へと誘うには十分すぎた。時は流れて2010年。何故か、また読みたくなった。昔を懐かしむ歳になったのか。はたまた、手を伸ばしても届くことのない雲への憧れか。


調べてみると新装版として文庫化されていたので早速購入。しかしここで期待を裏切られてしまった。中身は変わらんだろうと思ったが、肝心なものがない。写真がないのだった。よくよく考えれば当然のこと。文庫にカラーページがある訳ないがな。動揺した俺は直ぐさまamazonへ行き単行本をポチッ。



「雲、賣ります」


美しい表紙を捲ると飛び込んでくる紅色の広告の写真。古めかしい雰囲気に引き込まれてしまったら、既にもう術中に嵌ったも同然。空想の旅行記であるはずなのに、ページを捲る旅に現れる旅行土産の写真達の美しさに、現実と虚構の境目は消失しアゾットを傳次郎と共に旅をすることになる。


火蜥蜴の尻尾、哲学サーカス団、かなでるものたち、そして「クラウド・コレクター」


各地で収集された酒瓶が気になる。どんな味がするんだろう。空想が飛躍していく。そして、頭のてっぺんから蒸発して雲になる。
今読むと、解説の冗長さがちょっと気になりはしますけど。。それでもこの一冊は俺に取って大切な一冊だった。再読して確信。本を一冊まるごと使ったギミックを紐解いていくのが楽しい。


いい旅だった。お酒飲みたくなった。つーことで、マッカラン飲みながら。