かくいうもの

いつでもきょうがいちばんたのしいひ

高円寺純情物語

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祭りのあとの高円寺をぶらぶら。夏の名残を求めて。小さな世界を見つけたくて。懐かしい風景に焦がれて。


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18時過ぎに高円寺駅について電車から放り出されたら人混みだった。
祭りの熱気がまだ残っている。夏の名残と、笑顔と、ほろ酔いの人々。
頬なでる風はまだ沢山の熱を含んでいて、歩く度に汗がジンワリとシャツを湿らせていく。


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祭りは18時で終ってしまっていたのだが、街には「さあさあ、これからこれから」という人達が通りのテーブルを占拠して、ビールを、焼酎を、日本酒を、それ、グイッとな。


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「今年のお祭りはどこも何時もより人が多い気がする」なんて話しをしていて、確かにそうかもしれないと思う。中止になった祭りも幾つかあったようだけど、そうなると余計に祭りに惹かれる気持ちが強くなってしまう、というのは自分自身の実感としてもそうであり、こんな時だからこそ、という気持ちは誰しもにあって、突き動かされざるをえない。滾らざるをえない、のだ。

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汗で失った水分を、ビールで補給して、また汗として流して、残るものは何か。酔いの記憶か。風の音の記憶か。夏の虫の匂いか。俺とお前とお前と俺の、呼吸と、つばを飲む気配と、不意によぎる寂しさと切なさと心強さか。

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満員電車が苦手で夏でも汗だくで歩くような人間なのに、祭りの人の多さは全く嫌じゃない。寧ろごった返してないと、という感じがする。いや、神社の縁日、的なものも好きだった。もう細かいことはいい。祭だったらなんでもいいのかもしれない。きっとそう。


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で、この日は最初にも書いたように、祭りの終わったあとの街を歩いていたわけだけど、どこの通りを歩いても、いつまでも祭りを終わらせたくない人がいて、終ってしまう夏との別れの寂しさと重なって、ちょっと無口になってしまう。ただでさえ、言葉を持っていないので、手に負えない。

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行って戻って、足元を確認して、すっかり夜が訪れた空を見上げて、それからまた視線を前に戻して、まだ明るい街をちょっと大げさに目を細めてみたりしながら眺める。どんだけ世界は美しいんだと。何が違う。確かに温度が違う。何が違う。声が違う。何が違う、匂いが違う。


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街が黒に沈んでいくのと反比例するように、提灯の灯りはより輝くようになり、通りに響く笑い声はより心地よく響くようになり、酔いもまた、心地良さの海の中へ。



20110828 koenji - an album on Flickr