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かくいうもの

いつでもきょうがいちばんたのしいひ

島本理生『生まれる森』

小説

生まれる森

生まれる森

好きな作家だ。と言える一人。
と言っても読んだことあるのは「リトル・バイ・リトル」だけなんだけど。


しっかりとした文章で心の機微を繊細に描く力は他に類を見ない。
今作も恋愛小説と銘打たれながら、実際は深い淵から這い上がる人間を描いている。タッチがとても丁寧で胸を深くえぐって来る。時たま使い古されたようなセリフが出てくるけど、それは「鼻につく」というわけではなく、至極日常的でありリアルに近い。


主人公の野田ちゃんは特別な主人公的な存在でもなんでもなく、ごく普通の女性であり、生きることに必死。それは、キクちゃんも雪生も夏生もみな同じなんだ。必死。


ここに描かれるような人物達の魅力は、どんだけ人に影響を与えて生きるかっていうことで現れているような気がする。それは家族であれば当然のことでもあり、影響を与えて育った人が与えられた人にまた与えるという、当然のことながら普段意識していない部分をしっかりと描いていてその分物語が引き締まった。というかまさにこの物語の核。


いい作品だった。今日はいい日だ。


リトル・バイ・リトル (講談社文庫)

リトル・バイ・リトル (講談社文庫)