2年が経った。南三陸町に行ってきた。
俺は旅に出たのだ。前日は日中春めくどころか夏日にまでなるような気候が東京には煙霧を発生させ、仙台には春の予感だけを置き去りにして夜には雪が舞っていた。当然のごとく朝起きたらば空気は冬のそれに戻っていて、ただし澄んだそれだった。
仙台から東北本線。小牛田から気仙沼線。柳津から先はBRT(bus rapid transit=バス高速輸送システム)で志津川へ。
2時間半ほどのローカル線+バスの旅。2年目の記録を求めて辿り着いた南三陸町。かつて街だったところで、また街になろうとしているところだ。俺はここで何を見ようとしたのか。カメラを持って知らない土地に行くただの観光にすぎない。そうやって割り切らないと足を踏み入れることに躊躇する。
昔の君のことを知りたいと思う気持ちより、これからの君のことをもっと知りたいよ。その為に今を生きよう、
というようなフレーズが湧いてきてメモしてあった。俺の頭も相当涌いているようだ。
南三陸さんさん商店街。
人はまばらだが、飯何処はどこも並んでいた。単純に外が寒すぎるのだ。強烈な風が体を傾がせる。
手を合わせる先が見当たらない。そこにあったであろうものがすべて無くなっているのだろうか。ここにはホントに何かがあったのか?街が?人が?今自分の前に見える世界が自分が知る初めての世界でしかない。なんとか理解をしようとしても辿り付けない。
俺は何を撮っているのだろう、そうずっと考えていた。何を見に来たのか。何を考えたかったのか。
防災庁舎の前で記念写真を撮る人と何が違う?その様子を撮る報道の人と何が違う?
14:46 サイレンの音が鳴り響いた。鳴り終わる時の音が細くなっていくのが強烈に胸に突き刺さった。
答えを探していたわけでもなんでもないのだけど、結局何にも考えることが出来なかった。いや何かを考えたんだけど、よくわからない。感じたことはたくさんあったけど言葉にできない。
いろんなことがあった2年だった。住むところも変わった。楽しいことはそれ以前とは比べ物にならないほどあった。悲しいこともツライことも山ほどあった。でももっと楽しく、もっと飛び跳ねるように生きたい。
心の底からの祈りを込めて。
◆20130311 - an album on Flickr